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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Read 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 346,393 characters · 692 screens
七
坐った膝も詰り、肩や胸のあたりもスッとした方ではなかった。結立ての島田や櫛笄も、ひしゃげたような頭には何だか、持って来て載せたようにも見えた。でも、取り澄ました気振りは少しも見えず、折々表情のない目を挙げて、どこを見るともなく瞶めると、目眩しそうにまた伏せていた。
和泉屋と小野は、袴をシュッシュッ言わせながら、狭い座敷を出たり入ったりしていたが、するうち銚子や盃が運ばれて、手軽な三々九度の儀式が済むと、赤い盃が二側に居並んだ人々の手へ順々に廻された。
「おめでとう。」という声と一緒に、多勢が一斉にお辞儀をし合った。
新吉とお作の顔は、一様に熱って、目が美しく輝いていた。
七
盃が一順廻った時分に、小野がどこからか引っ張って来た若い謡謳いが、末座に坐って、いきなり突拍子な大声を張り揚げて、高砂を謳い出した。同時にお作が次の間へ着換えに起って、人々の前には膳が運ばれ、陽気な笑い声や、話し声が一時に入り乱れて、猪口が盛んにそちこちへ飛んだ。
「サア、お役は済んだ。これから飲むんだ。」和泉屋が言い出した。
新吉も席を離れて、「私のとこもまだ真の取着き身上で、御馳走と言っちゃ何もありませんが、酒だけアたくさんありますから、どうかマア御ゆっくり。