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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Read 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 346,393 characters · 692 screens
「家は別にむずかしいことはございません。お爺さんはもうごく気のいい人ですし、私もこれっきりの人間なのですから、ただ子息のお守りをしてもらいさえすればそれでいいのです。」と、母親は帰りがけに、ずっと打ち釈けたような調子で、猪口を浅山にさしながら言った。
少年のような顔をした浅山は、ぐずりぐずりした調子で、媒介人とこの婆さんとを相手に、ちびちびいつまでも後を引いていた。そして時々お庄の失笑すような笑談口を利いた。お庄は奥の方へ逃げ込んで行った。
母親の話では、嫁がうまく落ち着いてくれて、銭遣いの荒い子息がそれで締ってくれさえすれば、自分ら夫婦は早晩商売を若夫婦に譲り渡して、この春建てた裏の離房へ別居してしまいたいということであった。自分が来て世話を焼くようになってから、メキメキ商売が繁昌するようになったという自慢話も出ていた。
婆さんが媒介人と一緒に、いい機嫌で帰って行ってから、従姉は鬱陶しい顔をして、茶の室へ出て来た。浅山は手酌で、まだそこに飲んでいた。
「どうだお庄さん行って見るかね。己のような安官員のところなぞへ行って、年中ぴいぴいしてるよりか、どのくらい気が利いているか知れないよ。