Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Read 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 346,393 characters · 692 screens
」と棄て鉢を言った。
お作は惘れたような顔をした。
「お前なんざ幸福ものだよ。」と新吉はお作に言いかけた。「お国さんを御覧、添って二年になるかならぬにこの始末だろう。己なんざ、たといどんなことがあったって、一日も女房を困らすようなことをしておきゃしねえ。拝んでいてもいいくらいのもんだ。まったくだぜ。」
お作はニヤニヤと笑っていた。
飯が済んでから、お作が台所へ出ていると、新吉とお国が火鉢に差し向いでベチャクチャと何か話していた。お国が帰ると言うのを新吉が止めているようにも聞えるし、またその反対で、お国が出て行くまいと言って、話がごてつくようにも聞えるが、その話は大分込み入っているらしい。いろんな情実が絡み合っているようにも思える。お作は洗うものを洗ってから、手も拭かずに、しばらく考え込んでいた。と、新吉は何かぷりぷりして、ふいと店へ出てしまったらしい。お作が入って来た時、お国は長煙管で、スパスパと莨を喫していた。
その晩三人は妙な工合であった。お作はランプの下で、仕事を始めようとしたが、何だか気が落ち着かなかった。それにしばらくうつむいていると、血の加減か、じきに頭脳がフラフラして来る。