Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Read 浅草風土記 (あさくさふどき) by 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 162,294 characters · 318 screens
同時に癇癪もちの、我鳴ることの好きな、気難かしいじいさんだった。
出羽作の隣は西川勝之輔という踊の師匠だった。おもての格子から覗くと、眼尻の下った、禿げ上った額の円右にさも似た勝之輔師匠が、色の黒い、角張った顔の、烏猫を思わせる細君に地を弾かせ、「女太夫」だの、「山がえり」だの、「おそめ」だのを十一二の子供たちにいつも夢中になって教えていた。
その隣は、浅倉屋の親類の、吉田さんとどこかへ勤める人の控家だった。門のあり、塀のあるうちだった。その反対の側に長家つづきの側面があった。
それがどうだろう。
女髪結も、出羽作も、庵室も、吉田さんも、何もかも、或は鮨屋となり、或は小料理屋となり、或は西洋料理屋となった。――むかしながらに残るものは勝之輔師匠のうちだけ。――だが、それも、ある西洋料理屋の二階にわずかに残っているのである。
吉田さんのうちは、このごろ浅倉屋の角にでて、薬舗をはじめた。
*
今年、常盤座にあの火事のあった十三年目になるそうだ。――あの大きな火事がなかったならば、このあたり、いま、まだ、これほどの変りようはしなかったであろう。