Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

Read 浅草風土記 (あさくさふどき) by 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 162,294 characters · 318 screens

Aozora Bunko

なぜなら子供の時分、いまをさる二十五六年以前、わたしは学校のかえりに屡※(二の字点、1-2-22)このうちへ遊びによったのである。いまの主人の平ちゃんこと大谷平次郎君と、同じ学年同じ学級だったからである。――うちで、今度、裏へ器械体操をこしらえたから来ないか? うん、行こう、学校のかえりにすぐ行こう。……そうしたさまに簡単に、おもえば暢気な話である。広小路へかえるのより二倍も三倍もの道程をもったそのうちへ、さそわれるまま、平気でわたしは遊びにまわったのである。――まえにもいったように学校は馬道にあった。

勿論、まだ、吉野橋まででさえ電車の敷けなかった時分である。いいえ、その段か、そもそもその通りというものが、いまの半分にも足りない狭さだった。そうしてそのわりに、人通りでも車の行きかいでも、つねに頻繁な往来だった。だから、狭いばかりでなく、陰気にごみごみした感じだった。――だから山谷といえば、その時分、わたしたちにとって「千住」へつづくいそがしい街道の一部といった感じだった。――いいかえれば、それだけ田舎びていたのである……

が、その狭い通りを一ト足そのうちの門のなかへ入ると、驚くほど広い庭の、木の繁った築山があり、水銹の浮いた大きな池があり、その池をめぐって、ほうぼうに手丈夫な座敷が出来ていた。