Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Read 火の扉 (ひのとびら) by 岸田 国士 (きしだくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,467 characters · 257 screens
「どこかで調べてもらえんかしら?」
「それがたいへんなのよ。今までどこへ行つても、もう少し待て、もう少し待て、ですもの」
「しかし、まあ、生きているということの手がかりにはなるわけだね」
「生きている……そうね、そう言えばそうだわ。たゞ、その生命のかぎをだれが握つているか、だわ」
ながい沈黙ののち、市ノ瀬牧人は、ひとりごとのように――
「そういうこともあるかも知れんが、浜島君なら大丈夫と思うがなあ。そんなことする男じやないもの。よく調べればきつとわかるよ」
「そんなこと言つて、あの人のこと、あんたよう知らんくせに……」
「いや、いや、会つたことは一、二度だが、うわさによう聞いとるに。詩も読んどるに。信州日々に、ほら、よう出しよつたもの」
「へえ、市ノ瀬さんも詩をよむなんてことがおありなの? うれしくなるわ」
「おい、おい、わしはこれでも昔は藤村の愛読者だでなあ。――小諸なる古城のほとり、か。今でもこんなもん暗しようしとるに」
「そんなもん、だれだつて暗しようしとるわ。でも、あのひとのものはまさか覚えておいでんなあ」
「白状すると、そのとおり。上手か下手かもわからなんだ。