Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Read 私本太平記(一) (しほんたいへいき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 246,214 characters · 495 screens

Aozora Bunko

いそぎ参らすまま、委細はいま告げ申すまじ。一刻も早く、そもじに安堵させんが為の、兄の凡情とのみ、御覧候へ。

高氏どのの身柄。

近日、鎌倉表へ召ある可。

新田へも同様、沙汰下さる可候ふ。

両飛脚とも、今明中に、御加判賜はり次第、府を立ち、

不日おん眉を開き候はん。

雪山春不遠

唯々、解くるをお待ち候へかし。

のりふさ

足利御内室

おん許

「忘れはおきませぬ」

憲房の手紙を涙にして、清子は鎌倉の方をふし拝んだ。

――近日、赦免

とまでは書いてない。が、高氏へ鎌倉の召が行われ、ほぼよい解決の見越しもあるらしい兄の文意である。闇夜に光とはこのことか。彼女はしばし輿の内にその姿を泣き沈めていた。

「いやいや、まだ、疲れを思うのは早かった。まことの安堵をみるのは、これからのこと。そうじゃ、ここまでは来たなれど」

そこで憲房の使いは返した。同時に彼女もまた、この日途中から足利表へ引っ返して行ったのはいうまでもない。

それと前後して、執権加判の鎌倉下状が、新田ノ庄へも足利へも、早馬で着いた。

いずれも召状である。「――幾日迄ニ着府ノ事」と、期日も明示されていた。

即日。