Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Read 私本太平記(一) (しほんたいへいき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 246,214 characters · 495 screens
見ると、
御拝借の書冊返上 若殿御直へ。と上包みに書いてある。
人なき折、解いてみると、書物の間には、国元の直義から右馬介あてに来た書簡二通と、また、彼自身の詫び状が挿んであった。
「……おお、弟直義も、いつかわしの胸を知っていたのか。右馬介といい、直義といい、そこまで、わしに同意だったか」
読みつつ、彼はまた涙を新たにした。そして、涙にぬれた左の手頸をふと見入った。
彼の手頸には、この五月以前にはなかった痣ができていた。それは鎌倉中の人々に嘲われた日の記念だった。執権高時の愛犬“犬神”に咬まれた黒い歯型の痣なのである。