Japanese reading practice

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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

Read 鉄塔の怪人/海底の魔術師 (てっとうのかいじん) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 160,770 characters · 322 screens

Aozora Bunko

なにを見たのでしょう。

やはりへいぎわの、ずっとむこうの草むらの中に、なんだか黒いものが、うごめいていました。草のあいだから、首だけ出してじっとその方を見ていますと、やがて、それはふたりの人間であることがわかりました。なんだか、ゴミくずみたいな、じつにきたならしい人間です。ああ、わかりました。こじきです。こじきがこんなところに、やすんでいたのです。ひとりは女こじき、ひとりはその子どもでしょう。十四―五歳のきたない少年です。

刑事は、草の中を、その方へ近よっていきました。そして、よく見ると、女こじきはかた手で腹をおさえて、からだを、ふたつにおるようにしてうずくまっているのです。赤ちゃけたかみの毛は、スズメの巣のようにモジャモジャしていて、顔はあかでよごれてまっ黒です。着物ともいえないようなボロぎれを、からだにまとい、縄でおびをしています。

子どもこじきは心配らしく、女こじきの背中を、さすって、なにかいっているのですが、これも、黒くよごれたボロボロのシャツと、ズボンで、顔はまっ黒です。

「どうしたんだね、腹でもいたいのかね。」

ご用ききにばけた刑事が、女こじきの顔をのぞきこみながら、たずねました。