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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
Read 鉄塔の怪人/海底の魔術師 (てっとうのかいじん) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 160,770 characters · 322 screens
地下室の妖虫
「うん、おっかあのしゃくがおこったんだ。おめえジンタン持ってねえか。あれのむと、なおるんだがな。」
少年こじきが、ジロジロと刑事の顔をながめながら、ぶえんりょにいうのです。
「ジンタンなんて持ってないね。そんなにいたいのかい。」
「なあに、たいしたこたねえんです。じきによくなります。」
女こじきが、うつむいたまま、かすれた声で答えました。
「そうか、病気ならしかたがないが、日がくれないうちに、ほかへ行ったほうがいいよ。こんやは、このばけものやしきに、おそろしいことがおこるんだ。おまえたちが、ここにいると、ひどいめにあうかもしれないよ。」
刑事はそういって、あたりを見まわしながら、へいの外へ出ていきました。ふたりのこじきも、それから二十分ほどするとどこかへ姿を消してしまいましたが、あとになって、このこじきは、にせものだったことがわかるのです。何ものかが女こじきと、少年こじきにばけていたのです。ふたりは、いったい、だれとだれだったのでしょうか。また、なんのために、このばけものやしきへ来ていたのでしょうか。
地下室の妖虫
さて、その夜の九時かっきりに、高橋さんは、おばけやしきの地下室の階段をおりていきました。