Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
Read 鉄塔の怪人/海底の魔術師 (てっとうのかいじん) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 160,770 characters · 322 screens
ふたりは、そこに立ちすくんで、しばらく顔を見あわせていましたが、ひとりが水中電灯の光の前で右手をヒラヒラと動かしました。ことばのかわりの手まねなのです。潜水かぶとの中には、電話そうちがあって、作業船の上の人たちと話ができますけれど、潜水夫どうしが電話で話しあうことはできません。おたがいの手に電線をしかけて、手をにぎりあえば電話が通じるしかけもあるのですが、ふつうは、そういうしかけをしていないのです。
日本の潜水夫は、いまのような、すすんだ潜水服ができないむかしから、海の底にもぐることがじょうずでしたから、水の中で手まねで話すことにも、なれているのです。ちょうどおしが手まねで話をするように、潜水夫も手まねだけで、なんでも話すことができるのです。
「きみはこわいのか。」
ひとりの潜水夫の手まねは、そういっていました。そんなふうにきかれると、いじにも「こわい。」などとはいえません。
「こわいもんか。中へはいってみよう。」
もうひとりの潜水夫が手まねでこたえました。
「きみ、さきにはいれ。」
「いや、きみの方が、穴に近いじゃないか。きみ、さきにはいれ。」
ふたりが、さきをゆずりあっているのは、じつはこわいからです。