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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
Read 鉄塔の怪人/海底の魔術師 (てっとうのかいじん) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 160,770 characters · 322 screens
ざんねんながら、魚形艇の速力には、かなわないのです。だんだん、あいだがへだたっていくばかりでした。
そして、五分ほど追っかけているうちに、あいてを見うしなってしまいました。あいては、二つ目玉のようなヘッドライトを消したのです。そして、海の底の暗やみにまぎれて、どこかへ見えなくなってしまったのです。こちらの操縦士たちは、なんだか敵が、パッとかきけすように見えなくなったような気がしました。忍術でもつかったようなかんじでした。しかしともかく、敵を追っぱらったのですから、あとは、大洋丸のまわりをぐるぐるまわって、けいかいさえしていればよいのです。そこで、ハヤブサ丸の明智探偵に、無電をうちました。
「テキテイモ、テツノニンギョモ、ニゲサッタ、ホンテイハ、フキンノ、ケイカイニアタル、スグ、センスイフヲイレヨ」
その無電をうけたハヤブサ丸では、ちゃんと用意をしてまっていた、ひとりの潜水夫を、すぐに大洋丸へと、もぐらせました。いちばん、うでききの潜水夫です。
右手に鉄棒、左手に水中電灯をさげた潜水夫は、一度はいったことのある船室へと、ハッチをくだっていきました。鉄の人魚はにげさったというのですから、なにもこわいものはありません。