Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

Read 鉄塔の怪人/海底の魔術師 (てっとうのかいじん) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 160,770 characters · 322 screens

Aozora Bunko

では、賢二君は、さっき、まぼろしを見たのでしょうか。いや、まぼろしではありません。たしかにカブトムシでした。背中にがい骨もようのある、おそろしいカブトムシでした。

カブトムシは、またしても、魔法をつかったのです。あいつは、虫の国のふしぎな魔法の力で、思うままに、姿をあらわしたり、消したりすることができるのかもしれません。

そのあいだにも、自動車は、ずっと走りつづけていたのですが、そのとき、西がわが、森のようになった、ひどく、さびしい道に、さしかかりました。

「よし、ここで、とめて……。」

にせ明智が、運転手に命令しました。自動車はブレーキの音をたてて、急にとまりました。

「手をかしてくれ。このおやじさんを、ちょっと、このおやしろの中へ、寝かせておくんだ。朝になれば、しぜんに目をさますだろうからね。」

怪人物は、そんなことを、いいながら、運転手にてつだわせて、眠っている賢二君のおとうさんを車の外に出して、ふたりがかりで、エッチラオッチラ、暗い森の中へ、はこんでいきました。

そのあいだに賢二君がにげだす心配はありません。運転台には、まだひとりの助手がのこっていたからです。