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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens
「あッ」
上から覗いている者の口々に、恐ろしい感嘆の声。
「そこで下手人は誰だ――」
と石原の利助、鋭い眼でジロリと見廻しますが、百松の外には、そんな事をしそうな人間は一人もありません。
平次はこの試験をおわると、大急ぎで水槽から這い上がりながらこんな事を言います。
「二人の内の一人だ」
「誰と誰?」
と利助。
「お松を水槽から引揚げる時、床に植えた短刀を抜いて、龍の口へ投り込んだんだ」
「すると」
「藤六か、清次」
「えッ」
「藤六は自分の米櫃を殺すはずはない」
「それでは?」
そこまで解るうち清次は待っていませんでした。隙を見てヒラリと舞台から飛降りると、宵の闇へ。
「待て野郎ッ」
不意に、木戸口に隠れていたガラッ八、飛出そうとする清次の後ろから、むずと組み付きました。
先刻水槽に入る時、平次は眼配せ一つで、ガラッ八をここへ廻しておいたのでした。
*
「さすがは銭形の親分だ、親分が行って下さらなきゃア、もう少しでとんでもない事になるところだった」
述懐するともなくガラッ八。
「まア、そう言うな。今晩の下手人を捕えたのは、お前の腕っ節じゃないか」
平次はこの忠実な子分の肩を叩きました。