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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Read 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,786 characters · 278 screens
二刀について
二刀について
それについて、これも余り知られてない話だから紹介しておいてもよかろう。本多政朝、政勝の二代に仕えた重臣で、石川主税という人物がある。或る時、武蔵を午餐に招いて、他の客と共に歓談した。
そのうちに、客の一人が、武蔵の流儀について訊ね出し、二刀をつかうには、人一倍力量がなければなりますまいが、私のような力のない者にも、御流儀の修行ができましょうかと訊いた。
武蔵はそれに答えて、
「剣道は力を主とするものではないから、その御懸念はさらに要らぬことである。二刀といっても、左右の手に、易々片手で振ることのできる程度のものを用いればよろしい」
といった。すると客は、やや奇を好んで、
「甚だ失礼ですが、先生は長身でいらっしゃるし、お力の程も逞しいものと伺っていますが、両刀をおつかいになる場合は、およそどれくらいな程度までの物をお用いになりますか」
という。武蔵は首を振り、
「いやなに、各※(二の字点、1-2-22)と大した変りはありません。しかし、得物も時によっては、自分の用意以外の物を使用する場合もあることゆえ、使いよい程のものは――」と、主人に断って、床の間にすすみ、そこに立てかけた五匁目玉の鉄砲を二挺持って、座敷の中ほどに坐り直した。