Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Read 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,786 characters · 278 screens
達人と達人
都甲金平
と答えたという。
達人と達人
尾張の城下を歩いていた武蔵は、一人の武士とすれ違いざま、
「久々に、生きた御人にお目にかかるものかな。其許は、柳生兵庫殿にては在さずや」
武蔵の言葉に、武士はにこと頷いて、
「如何にも私は柳生兵庫――。そう仰せあるあなたは、高名な宮本武蔵殿ではおわさぬか」
と答えたという。
両士は忽ち、百年の旧知の如く打ちとけ、兵庫の屋敷に同道して、酒盃を汲み交わし碁を打ち興じて、滞留久しきに及んだが、遂に一度も、剣技を試みるところはなかった。
武蔵は後にこの時の心境を説明して、何故一見して兵庫と認めたかは、心機の妙、理外の理であって、言葉には表現し難い。また、二人が、剣を交えなかったのは、敢てそれに及ばなくても、充分お互いの腕前が暗黙のうちに分っていたからである、といったそうである。
都甲金平
武蔵の人物を見る眼識は、なかなか優れていたらしい。晩年、肥後藩に身を寄せてからも、次のような逸話が残っている。
一日、武蔵は主君忠利公に向って、
「家中剛毅の士多き中にも、只今、殊に器量抜群の人物を見受け申した」
と言上した。
「誰か」
と、忠利公が興深げに問う。