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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Read 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,786 characters · 278 screens
ところがその翌年、大徳寺において玉室の法嗣正隠を出世せしめたので、幕府は厳重その非違を譴責した。
大徳寺の諸老は極度に狼狽して、如何に申し開くべきかに迷ったが、沢庵はこれを見兼ねて自ら筆を採り、玉室、江月、沢庵の連署を以って、此の度の出世は寺法先規に従ったまでで、決して違法には非ざる所以の返答書を認めて、幕府に呈した。
これが益※(二の字点、1-2-22)当局の忌諱に触れるところとなり、三僧を江戸に下して問責し、遂に沢庵を出羽上ノ山へ、玉室を奥州棚倉へ流刑に処した。時に寛永六年七月、沢庵は五十七歳であった。
当時、沢庵の学識道徳に傾倒する大名は尠くなかったが、特に熱烈だったのは、細川越中守忠利と、柳生但馬守宗矩であった。
柳生但馬が沢庵に参禅したのは、かなり早くからであったらしい。一説に、関ヶ原以前と伝わっている。
沢庵は赦免の後、屡柳営に上って家光の法問に答え、恩寵年と共に厚きを加えて、遂に命に依って品川東海寺の開山第一世となっているが、最初、沢庵を将軍に推挙したのは柳生但馬だったといわれている。
家光は但馬について剣法を修め、技法においてはかなり会得するところがあったが、遂に、最後の一線に至っては、但馬に追随し難いものがあった。