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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Read 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,786 characters · 278 screens
田能村竹田の「山中人饒舌」とか、渡辺崋山の著書とか、竹洞の「金剛杵」とかいうあたりのものは、さすがと思われるが、前の本朝画纂を始め、ひどい出鱈目が、いかにも多い。
「近世逸人画史」
宮本武蔵、肥前小笠原侯の臣、剣名最も高し。絵事の事はたえて人知らず。その画風長谷川家に出づ
あたりはまだいい。肥前小笠原侯の臣はおかしいが、そう咎むべき誤りでもあるまい。
だが、「本朝古今書画便覧」の、
――武蔵、二天と号す。肥後熊本の城主、加藤主計頭清正の臣。宮本武右衛門の男、其実は、長州萩の城主毛利輝元の家臣、吉岡太郎左衛門の二男也。幼名官次郎、又画を善す。其画京師東事中、又相州小田原辺にあり。筆力長谷川等伯に似たり
などは、あまり無茶もすぎる記事である。たいがいこの筆法で、画の筆者の輪廓さえ過っているのが殆どである。――にも関わらず、武蔵の画については、
長谷川等伯の流派を倣った、とか。
海北友松に師事した、とか。
梁楷の画風を慕ってそれを習んだ、とか。
とにかく何とかかんとか断じているのはおそろしい。それをまた、そのまま受取って帝室博物館編纂の「稿本日本美術略史」までが、