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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Read 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,786 characters · 278 screens
辰刻玄信
宮本武蔵
有左衛門様
小姓衆御中
文面で見ると、これは明らかに、武蔵が島原在陣中の、しかも原城陥落の激戦直後に認めたものだということが察しられる。
従来、彼が島原の乱に参軍したということは、碑文や後伝の書には記されているが、彼自身の足蹟として、証拠だてうる史料は何一つなかったのだが、この一書簡に依って、確実に、彼の島原参陣が明らかにされていることは、この書簡のもつ、もっとも大きな文献的価値といってさしつかえない。
殊にまた、彼の直筆として、「……せがれ伊織儀」と、伊織のことに言及している点など、親子の情も見るべく、歴々として、当年の心事を想到するに足るものがある。
文意の大体を、解説するならば――まずこうも云おうか。
さきには、お心づけの御尊書をいただいて、誠にありがとうございました。くだって、せがれの伊織も、御成の事に(何か随身の列に立つことでもあろうか? なお後考を要する)立つそうで、よろこばしく思っております。また、わたくし事は、どうも老人の足のこととて、これはどうか、お察しねがいたいものです。
あなた様、御旗下様、御家中たちへも、(手先にて申置候――ここ、意味不明、原城乗入れのことかもしれない)殊に、御父子におかれては、本丸までも、早々にお立ち入りになったそうで、まことに、目ざましい