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Japanische Klassiker mit Furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme

Aozora Bunko

「おれは諄いこたあ嫌えだ」と栄二は答えた。

するとさぶは、両手で栄二の衿を掴み、はっはっと大きく喘いで「栄ちゃん」と云った。

「おらあぐずでまぬけで能なしだ」とさぶはおののく声で叫んだ、「栄ちゃんの眼から見れば、おれなんかの云うことやすることは、さぞあまっちょろくてまどろっこしいだろう、だけれどもな、栄ちゃん、一生に一度ぐらい、おれの頼みをきいてくれてもいいんじゃねえのか、――たとえどんなえらい人でも、一生に一度ぐらいは人の云うことをきくもんじゃねえだろうか」

栄二は自分の着物の衿を掴んださぶの手を見た。糊の仕込みで荒れた、まるまっちい、節くれだった短い指が、衿を掴んだままこまかくふるえていた。

「わかった」と、やがて栄二は云った、「考えてみよう」

さぶは手を放した、「済まねえ、つい乱暴なまねをしちゃって」

「あやまるのはよしてくれ、どうやら詫びを云うのはおれのほうらしいからな」と云って栄二は唇を歪めた、「口に出すときざになるから云わねえが、おめえにゃあながいことずいぶん厄介をかけた、まあ聞けよ、――こいつは口で詫びたり、礼をいったぐらいで済むものじゃあねえ、一生かかっても返せるかどうかわからねえことなんだ、そしてまた、ここでも同じような世話になってる、死ぬばかりと思った命を助けられてるんだ」