Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
宮子だった。
「怒って帰って行くんだな」
と、苦笑していると、すれちがいざまに一人の男が、ピシャリと宮子の頬を撲った。
「なんだ、女だてらに昼間赤い顔をしやがって……」
しかし、その男も酔っぱらっていた。
宮子はあっけに取られてぽかんと突っ立っていた。
その横を三人は通り過ぎて行った。
弓子と鶴雄が肩を並べて歩いているのを見て、宮子ははっとした。
そして、口も利けず、三人のうしろ姿を見送っていた。見知らぬ男から撲られたことよりも、この方が宮子にはショックだった。
寺町通りを四条通りに出ると、三人は円山公園の方へ歩いて行った。
円山公園を抜けて一休庵へ行く途中、古びた低い門をくぐると左手に高台寺の見える細長いさびた道がいかにも京都らしいしずけさの中に伸びていた。
「夏の夜、この道を歩いてごらん。螢が飛ぶよ。京都じゃ、木屋町の螢と、高台寺の螢だね」
と、小田はぽつりと言ったが、ふと思い出したように、
「――小郷が現実に殺されないとすれば、まさか小説の中に殺されたと書くわけにはいかないが、しかし、小説というやつは、どこかで必らず一つだけ嘘を書くもんだ、嘘から出た真がつねに小説家のねがいだよ」