Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
二
「坊ン坊ン……」
「なんだ! ……」
と、改まってきかれると、鈴子はもう何にも言えず、もじもじしていたが、やがて、
「おおけに……。ほな、帰らして貰います」
出て行きかけて、また戻って来ると、
「坊ン坊ン、甘いもンお好きどすか」
だしぬけに、そうきいた。
「好きだ」
「ほな、あて、あした、べにやの※(「飮のへん+稻のつくり」、第4水準2-92-68)みつおごらせて貰てもかめしめへんどっか」
「※(「飮のへん+稻のつくり」、第4水準2-92-68)みつ……?」
鶴雄は思わず微笑した途端に、下鴨の小郷の女中に「明日正午べにやで待っている」という弓子への置手紙をことづけたことを想い出した。
二
「おごるって、お金あるのか」
鶴雄が言うと、鈴子は、
「あてかテ、お小づかい貰うのンどっせ」
と、唇をとがらせた。
「そうか。じゃ、おごって貰おう。しかし、あしたはだめだ」
「なんぜどす……?」
「…………」
まさか弓子と約束しているとは言えなかった。
「なんぜどんにゃ……?」
「あしたは勉強だ」
「ほな、あさってにしまっさ」
「うん」
うなずくと、鈴子はもう無邪気な表情で、いそいそと帰って行った。