Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
九
「しかも、よりによって、おれの部屋の真上で……」
鶴雄は再びきっとして天井を睨んだ。
鶴雄の眼はふとラスコリニコフのような虚ろな、しかし、激しい狂暴性に燃えていた。
その時、
「坊ン、坊ン!」
女の声で呼ばれた。
振り向くと、君勇がすっくと立っていた。
「何だ……?」
「坊ン、坊ン!」
と、もう一度言って、君勇はよろめいた。酔っているのだろう。
「――おうち、何ともおへんか」
「何がだ……?」
「坊ン、坊ン!」
「うるさいな、坊ン坊ン、坊ン坊ン言うな」
鶴雄ははき出すように言った。
その時、君勇の手がいきなり伸びた。
鶴雄の頬がピシャリと音を立てた。
「阿呆!」
君勇は半泣きの声になっていた。
九
鶴雄は、なぜ撲られたのか、わけが判らなかった。
「何をするんだ!」
思わず君勇をにらみつけた。
「…………」
君勇はとろんとした眼で、鶴雄を見据えていたが、やがて、
「あんたッ!」
鋭く鶴雄を呼んで、
「――あんた何にもお知りやおへんのか。鈴子はんのこと……」
「…………」
「鈴子はん今晩どないなるか知っといやすか」
言いながら、君勇は自分が舞妓の時、はじめて旦那を取った晩のことを想い出して、しびれるような感傷に胸が温まり、声がうるんだ。