Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
弓子は小田の話なぞ全然興味がなく、ほとんどきいていなかったが、ただ、こうして鶴雄と肩を並べて歩くのがたのしかった。
しかし、このたのしさがいつまで続くかと思うと、悲しかった。
「結局あたしは掏摸じゃないの。いつまでもこのひととつき合える人間じゃない」
そう思うと気の遠くなるくらい、寂しかった。
「姉さんを身うけしてしまったからもう、掏摸をやる必要はない。しかし、これからさき姉さんと二人で、どう生きて行ったらいいだろうか」
小野屋旅館で自分の帰りを待っている姉のことが、ちらと頭に泛んだ。
「早く帰って、姉さんと二人で相談しよう」
そう思いながら、鶴雄と別れて帰る気になれない自分が、情けなかった。
すると、勝気な弓子は、もういても立ってもいられなかった。
清水への坂にかかった時、弓子はいきなり、
「あたし、ここでおわかれしますわ」
「あ、そうですか」
と、小田はあっさりといった。
鶴雄はだまっていた。
弓子は鶴雄がだまっていることより、小田が鶴雄にかわって、ひきとめてくれないのが恨めしかった。
「さよなら」
坂を降りて行って、ふと振り向くと、鶴雄も振り向いた。