Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
三
しかし、小郷は君勇がひきつけられていると思ってしまったくらい、嫉妬にかられていた。
小郷はたまりかねて、いきなり起ち上って客席を出て行った。
すると一人の男がすっと起ち上って、小郷のあとをつけて行った。
三
小郷が廊下へ出て行くのを見ると、君勇もあとからついて行こうとして、立ち上りかけて
「あッ!」
と、声をのんだ。
そして、そのまま椅子に釘づけになっていたが、やがて、意を決したように、青ざめた顔に、緊張した表情をきっとうかべて、望月の歌声を背中に、廊下へ出て行った。
廊下にはしかし、もう小郷の姿は見当らなかった。
小郷は電話室へはいっていたのである。
どこへ電話しようとしたのか。
――廊下へ出た時の小郷は、蒼白になっていた。
彼の苦悩はこの時、殆んど絶頂に達していたが、しかし、今や自分をさいなむことに自虐的な快感すら感じていた彼は、望月三郎の声をきいた今、その姦通の相手である真紀子の声をきいてみたい――という、ちょっと常識では考えられぬ奇妙なことを思いついたのだ。
もっとも、一つには、今日の彼はもう思い切り享楽の限りをつくすよりほかに、苦悩を癒やすすべがなかったから、そのためにいる金を、家から持って来させようと思ったのだ。