Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

七

「ああ、あの本……? 掏摸だって『赤と黒』を読むわ」

弓子は古綿を千切って捨てるように、言った。

「しかし、ただの読み方じゃない。あんたは『赤と黒』に心酔してるんだろう?」

「まア、そうね」

「僕だってそうだ。僕はスタンダールは世界で一番えらい作家だと思っているが、しかし、あんたは僕以上に『赤と黒』が好きだろう。その証拠に……」

鶴雄はちょっと口籠って、

「――これは僕の憶測で、当っているかどうか知らないが、あんたは赤と黒の二色しか身につけないらしい」

赤いブラウスに黒ズボン、それに部屋に掛った着物も、赤と黒の縞柄であった。それを、色町に育っただけあって、さすがに鶴雄は素早く観察していたのだ。

「鋭いわね。あなたは……」

それには答えず、

「とにかく、あんたはただの掏摸じゃない。つまり、よくよく金のいる事情があって、僕の金を掏ったんだろう。その、よくよくの事情に敬意を表して、僕はその百円をあんたに進呈しようといっているわけだ」

七

「あなたも随分空想家ね」

と、弓子は笑いながら、

「――よくよくの事情……? あはは……そんなものないわよ。あたしはただスリルを求めているだけ。