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Japanische Klassiker mit Furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「だめだ!」

「なんぜどす……」

と、君勇がきき返すと、鶴雄はふとためらったが、やがて睫毛の長い眼で、ちらと睨みつけるように君勇の横顔を見ると、

「女に会いに行くんだ」

それにしては随分野暮ったい調子で、ずばりと言って、すたすた歩き出した。

二

「えっ……?」

と、君勇は立ち停った。

鶴雄が女に会いに行くなんて、そんなばかな……と、唇を噛んだ。

色町で育ったけれど、いや、それだからこそ一層、鶴雄は品行が良かった。はにかみ屋のせいか、自尊心が強いのか、自分から女に話し掛けるようなことはなく、女ぎらいで通っていた。――もっとも二十歳の鶴雄にわざわざ「女ぎらい」という形容が大袈裟だというなら、純潔といいかえても良い。

環境が環境だし、それに美貌だし、人一倍誘惑が多い筈だが、鶴雄は固く身を守って来た。女の肌を知らず、甘い囁きも知らぬ純潔さが、しかし爛れ切った玄人女にとっては、何か焦燥のような魅力であった。

ところが、鶴雄が女に会いに行く、誰か女を愛している……。

自分より先に鶴雄を奪ってしまった女がいるのかと思うと、君勇は取りかえしのつかぬ想いに重く沈んで、もう鶴雄に随いて行くことも忘れて、ぽかんと後姿を見送っていた。