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Japanische Klassiker mit Furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

いわば、宮子は結婚する時にはもう処女を失っていたのである。

宮子が結婚する頃には、その学生は東京の大学へはいっていたので、既にどちらからともなく関係が切れており、宮子もその男のことはいつか忘れてしまった。

ところが今、鶴雄を見た途端宮子はいきなりその学生のことを思い出した。

三高生で、色が白く、背が高いというところが似ているのだった。

「しかし、この三高生の方がずっと可愛いい」

宮子はにわかに青春が甦って来た想いで随いて行くと、果して鶴雄は撮影所の前を真っ直ぐ歩いて行った。

やがて鶴雄は急に歩度をゆるめて標札を見上げながら歩いた。

「なんだ、下鴨に下宿してるのじゃなかったのか」

と、宮子はふとがっかりした。

しかし、宮子はすっかりは失望しなかった。鶴雄がどこか訪ねる家を探しているらしいのは、もっけの倖いだと、宮子は思った。

宮子はいきなり寄って行って、

「どこのお家を、探してらっしゃるの」

と声を掛けた。

「はあ」

と、鶴雄は帽子をとって、

「――小郷さんというお宅なんですが……」

「小郷……?」

「ええ」

「じゃ、あなたは小郷という人をこれから訪ねて行くの……?」