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Japanische Klassiker mit Furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

十二

お雪はもがいたが、しかし、幹男の異性に対するはげしい好奇心と、動物的感覚は元来持ち合わせのすくない理性を、すっかり麻痺させていた。

お雪は幹男がきらいではなかった。女中づかいの荒いこの家で、幹男だけはお雪に用事をいいつけることもすくなく、優しい坊っちゃんだと思っていた。

その坊っちゃんが自分を好いていてくれたのかと、お雪は幹男の荒々しい動作を、自分への愛情のはげしさだと、その時ふと思ったくらい、愚かな弱い女だった。

二人はあり来たりの関係に陥った。そしてお雪はかんたんに妊娠したのだ。……

その時のことを、生なましい後悔でふと想い出しながら、幹男は、

「どないしたらええやろ」

と、ただ呟いていた。

十二

応接室から笑い声が聴えて来た。

幹男はその声を、遠い想いで聴いていた。

さっき応接室のドアをひらいた時、ちらと見た鶴雄と弓子……その二人が何の用事で誰を訪ねて来たのか、そんなことを考える余裕は、幹男にはなかった。

ただ、あの二人は幸福そうだな――と、ふっと羨しかった。

「いや、あの二人だけではない」

世界中でおれは一番不幸な人間だと、幹男は思った。

毎日の新聞を見れば、世間には多くの不幸な人間がいる。