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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

翌朝、私は三時に起きた。或る二つの雑誌へその日のうちに歌の原稿を送らねばならなかったのだが、歌は幸いにもその前、伊豆の湯ヶ島温泉滞在中に詠んだのがあったが、すべて詠みすてたままで、イザ清書するとなるといろいろと見直さねばならぬ処が多かった。それで友人の起き出るまでに一つの雑誌へ出す分をば辛うじて清書し終えたが、一方分だけは残ってしまった。止むなくそれを蘆の湖の宿屋でやる事にして、午前九時二人とも草鞋を履いて、門を出た。初夏の頃にありがちの朝曇の深い空であった。

三島の宿を出はずれると直ぐ旧道の登りになるのだが、いつの間に改修されたのか、名物の石だたみ道はすっかり石を掘り出して普通の砂利敷道に変っていた。雲助やごまの蠅や関所ぬけやまたは種々のかたき打だの武勇伝などと聯想されがちであったこの名高い関所道も終に旧態を改めねばならなくなったのかと思いながら、長い長い松並木の蔭を登る。山にかかった頃から雲は晴れて、うしろに富士が冴えて来た。

見晴らしの利く木蔭などを見つけては幾度となく腰をおろした。労れたわけではなかったが、私は湖に着くまでにS―君の持って来た歌稿を見てあげようと思ったのであった。