Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
一つ二つと手すさみに取って食いながら歩いていたが、私は不図遠くの留守宅に兄妹三人して仲よく遊んでいる子供たちの事を思い出した。彼等にとっては恐らく生れて初めて見るものらしいこの山の果物を手にとる時の彼等の笑顔がはっきりと思い浮べられた。そして母を取巻いてぞろぞろと青い葉や蔓と共にこれを引出す彼等のそれぞれを思い浮べると同時に、私は早速これを蔓のまま箱詰にして郵便局から送ってやろうと思い立った。普通の郵便局は白骨から八里松本市の方に離れた島々村でなくてはない事を知っているが、無集配局ならば島々より二里近い稲※村にあるのだから当然大野川にもあるものと思われたのだ。そう思うと其処等に下っているこの通蔓草の実を無関心で見る事が出来なくなった。あれかこれかと選み始めたが、サテそうなると多い様でもかっきり都合のいいのになかなか行き会わなかった。さがっている枝が余りに高かったり、滝の中流に垂れていたり、粒が小さかったり、青過ぎたり、五町十町と道ぞいに探してゆくに甚だ骨が折れた。それでもいつか片手には青々としたその蔓が幾重にか垂れ下って来た。
或る一本の樫の木に草鞋のままに攀じ登って頻りに蔓を引いていると、不図遠くの方でうたう唄声を聞いた。