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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

」をした。時計はまだ午後一時であった。

一人となって急に私の歩みの速度は増した。酒の酔も眼立って出て来た様に感ぜられた。今までは片側の空のうち開けた山の中腹を通って来たのであるが、其処からは両方に嶮しい山の切り立った狭い狭い峡間の底を渓に沿うてゆくのである。別れた三人も北と南の差はあるが、これも今日一日同じ様な谷底道を歩かねばならぬのだ。「左様なら」「左様なら」という心持がいつまでも胸に残って、わけもなく私は急いだ。寂しいとか悲しいとか云うのではないが、急がずには紛らし兼ぬる心持なのだ。然し、程なく疲労がやって来た。元来が白骨籠りの病人には今日の道は無理であった。それに友人が多く飲んだにしても兎に角二人で四本の田舎酒が身体に入っている。「疲れた!」と思うと、埒もなく手足の筋が緩み痛んで来た。

一日のうち一時間も日光が射すだろうかと思われるこの谷間の径には到る処に今を盛りの通蔓草の実が垂れ下っていた。じめじめと湿った落葉の上を踏んで急いでいると、ツイ其処の鼻さきに五つも六つも十あまりもうす青くまたうす紫に一条の蔓に重なり合って熟れているのなどが眼についた。