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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

ために私は悠々と滞在中一室を占領する事も出来たのであった。

彼等の多くは最も休息を要する爺さん婆さんたちであるが、若者も相当に来ていた。そしてそうした人里離れた場所であるだけその若者たちの被解放感は他の温泉場に於けるより一層甚だしく、入湯にというより唯だ騒ぎに来たという方が適当なほどよく騒いだ。騒ぐと云っても料理屋があるではなく(二軒の蕎麦屋がさし当りその代理を勤めるものであるが)宿屋の酒だとて里で飲むよりずっと割が高くなっているのでさまでは飲まず、ただもう終日湯槽から湯槽を裸体のまま廻り歩いて、出来るだけの声を出して唄を唄うのである。唄と云っても唯だ二種類に限られている。曰く木曾節、曰く伊奈節、共に信州自慢の俗謡であるのだ。また其処に来る信州人という中にも伊那谷、木曾谷の者が過半を占めている様で、従ってこの二つの唄が繁昌するのである。朝は先ず二時三時からその声が起る、そして夜は十一時十二時にまで及ぶ。私は最初一つの共同湯に面した部屋にいたのであるが、終にその唄に耐え兼ねてずっと奥まった小さな部屋へ移して貰ったのであった。然し、久しくきいているうちに、その粗野や無作法を責むるよりも、いかにも自然な原始的な娯楽場を其処に見るおもいがして、いつか私は渋面よりも多く微笑を以てそれに面する様になった。