Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

風は無い、日はあたたかに刈り草の香をまじえて、ああ旅の中に春が来たなとうなずかれた。何の鳥か知らず、水ぎわに餌をあさっている、そしてうち開いた湖から、氷の割れる音がホルンのように響いて来る。ここは私の好きな山の湖と云う、寥しい感じはあたえなかったが、崩れかけた石屋根や、ニレの木立の上に、遠くなだらかな山の並んでいるのが、もうイタリヤに来たようにうれしい。近所の百姓家のあいだをぶらついたら、野良犬に吠えつかれて、あわてて逃げ出した。

停車場上の丘を、のそりのそり、下りて来るとすれちがいに、挨拶する男がある、誰かと思ったら昨日の絵はがき屋さんで、いやに、にこにこしている様子が、話でもはじめそうだから、また、ブオン・ジオルノで御免を蒙って、急に、いそがしそうに歩き初めた。ホテルに着くと丁度昼飯である。

食堂では、若い別嬪と小さなテーブルでさし向いにされたんで、みんな羨しそうな顔をして、こっちばかり気にしているから気がひけて、何を食わされたんだか、今もって、覚がないくらいのぼせてしまった、相手がイタリヤの女では、一番ハイカラがったところで、十八番のブォン・ジオルノでははじまらない、御蔭でパラディソの酒がすっかり頭にあがった。