Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
遭難の夜
はない、又声を絞って近藤君を呼んだ、返事はない、私はフィルンの端にかじりついて、延び上って三度近藤君を呼んだが、矢張りしーんとして誰も答えるものはない。私はそのままぐったりと雪の上にたおれて、フィルンから滴り落ちる、水溜りに口をつっ込んで、犬のように冷たい水を吸ったのを、今だによく記憶しておる。
遭難の夜
何だか、がやがや騒々しいんで眼が覚めると、周りに裸蝋燭があちこちと動いて、荒くれ立った男が、大勢私の側でしゃべっていた、気が付くとどれも見知らない顔ばかりで、起き上ろうとする身体を支えてくれたが、身動きする度に、骨が軋むように痛い。私はいつの間にか寝床の上に寝かされて、近藤君も入口の方に倒れておった。何だか頭が妙になって、そのまま眼をふさぐと、室の中の騒ぎが急にはげしく湧き上って、床を蹶る音や、杖を突くひびきが、ぐわんと後脳に沁みたと思った。
眼を開くと、大勢の男にかつがれて、真蒼な顔をしたヘッスラーが入って来た、一人は素敵に英語がうまい、其筈で、後に聞くと亜米利加人だったが、私の額に手をあてたり、脈膊を数えたりして、やがて角砂糖にコンニャックをそそいで、口に含ませてくれた。