Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

ウァーレンゼーの湖畔

グラールスの谷には靄がたなびきはじめて、原一面に散らばって響いていたクラリヨンは、あすこに一とかたまり、ここに一と群れと云うように集まって、ポプラの間に建てられた、小村小村の柵に近く動いてゆく、そこにはものうげな煙が、風のない空に円柱のように静かに静かにのぼってゆく。

宿に帰ったのはもう薄ぐらくなった頃で、南むきのヴェランダで、晩餐をはじめた。アルペン・グリューンはグレルニッシュの尖った山頂から、右に落とす、鋭い雪の斜面からほんのりと染まりかけて、南を限る山々は火のように輝きはじめた、その山脈とウェーゼンのもう薄ぐらくなった草原のはずれから、靄がむくむく湧き上る、原はグラールスの谷よりも小高くなって、雪の斜面との間には、深い渓でも横たわっているように思われる。晩餐のあいだに、日はとっぷり暮れて、静かな山の空気が冷や冷やと膚にせまる。二階に戻りしなにふりかえると、蒼白いグレルニッシュの氷の上に天狼星がピカッと光っていた。

ウァーレンゼーの湖畔

床をはなれた時には、いかにも春らしい朝日が窓いっぱいにさしこんで、ぼーっと霞みだった湖と、その側にぬけ出した鐘塔の右ひだりに、雪を繞らした山々が、庭の梢の眼のさめるような緑の上に望まれた。