Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

成るほど、食べ物のやかましい奴には此の手に限ると、独りで可笑しかった。

その中、無事に食事もすむ、思い入れ宜しくあって、一礼に及んで、棕梠の葉の風にそよぐヴェランダで、シガーを吹かしていると、遠くの方からペラペラっと、何かしゃべった女がある、見ると変てこな婆さんで、失礼何ですかと聞きかえすと、貴下は英国人ですかって云やがった、ははあ我輩の英語も中々上達したんだなと、自惚れた上、なるべく流暢なるイングリッシュで、ワタクシ、日本人、日本人、と答えてやったら変な顔をして、あまり御静かにしていらっしゃるからとぬかしやがった、怪しからん婆だ、英国人でなければ、御静かでは平仄が合わないと思うのがそもそも癪にさわる、第一、面を見れば、忠良なる大日本帝国の臣民とは、すぐ気がつきそうなものだ。ヴェルサイユではイタリヤ人になった、シェネーフではスペイン人だと思われた、しかし怪我にも英国人と思うなんて、あんまり人を見くびっている、此奴の眼球は碧くって、その上いやに窪んでいるから、安い写真のレンズみたいに、アナスティグマートではないんだろう。自慢ではないが、スウィス仕込みの赤ら顔で、鬚は、いやこれはそそっかしい女だから、気がつかなかったなんてぬかすかも知れないが、一歩譲っても、髪の毛は赤くも黄ろくもないんだ、そうだ、此奴は色盲