Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
な丘に、そして、そのながながと、湖水をめぐる冬枯の丘も、次第にうしろになって、枯草の原に重く滲じむ、灰色の空のロムバルディヤは、南欧とは思われぬくらい旅人の心も重い、まださすがに冬のまなかであった。
靴さきに、かさこそと鳴る楢の落ち葉も、もう幾年か経ってしまったように心細い。ミラノに着くと、たまらなくなって、まだあの雪の国がなつかしさに、せめて「モーダン・ペインタース」の挿し画にある、「夕日のモンテ・ローザ」を眺めようと思って、停車場に近いホテル・シュミットに荷物をほうり込むと、すぐその足で、コルソ・ヴェネーツィヤの人波を押しわけながら、イル・ドゥオモ Il Duomo へやって来たが、白塔はもとより煤煙に包まれて、入日の雪は、今日は見ることができなかった。その帰りみちに、久しぶりに寄り込んだ、テヤートロ・アラ・スカラのパルシファルも、背景の白樺と、遠山の雪が胸に沁みて、ホルンとチェルロのウニソンももの悲しい。
そのミラノから、南、ジエノーヴァ、ヴエンティミリヤと、だんだん山に遠ざかるのが、リヴィエラの春ではあるが、心細かった。謝肉祭の花祭りも、レマンの湖畔モントルーの、ナルツィセン・フェスト Narcisen-Fest ほどに興をひかない。