Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
電車はその右側に沿うて、半分ほど廻ると、ベルニナ・オスピツィオ Bernina Ospizio の停車場に停った。標高七千四百尺、線路はここで、始めて、ティラノからポスキヤーヴォを通って、サン・モリッツへぬける街道へ出会うのであるが、ボネッティの小村に面した、東側の斜面に、春先きの今は雪崩が多くて、非常に危険だと云う話しだ。ベルニナの尼寺は、湖水より右手の、岡のうしろにあたって、その街道に沿うた、ラゴ・デラ・クロチェッタの水際にある。
アルプスの山上に、行き暮れた旅人が、ちらっと見えた灯火を目あてに、疲れ切った足を無理やりに曳きずって、こうした尼寺の前までやっと辿りついて、跪くように雪の上につんのめるとたんに、けたたましい犬の声が闇の奥から響いて、今まで積雪の上に漏れて、赤く滲んだ灯が吸いとられたように消えてしまうと、やがて門口にその灯を手にした、黒衣の尼が表われる。アヴェ・マリヤの鐘のねに、山上の日は黄昏れて、“Wie Todes Ahnung” と唱われたように、黒い面覆が谷を包んで、見わたす氷の頂にアルペン・グリューンの輝く時。または物の音は、渓にあふれる急流の響も絶えて、雲は静かに、蒼空をめぐって、花野の上にただよう時。