Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
ローンを右に見る汽車の窓に、むら消えの雪の間に、霜げたがさすが若草か緑の牧も見えて、丘は赤瓦の百姓屋、川やなぎ、ポプラ、背戸に積んだ刈り草の、空はやわらかにうすら霞んで、南欧らしい気分は、急行の汽車の中までただようている。ふりかえるとリヨンの街は、どんよりともう立ちこめた烟の中に隠れて、今となれば、さすがもの悲しいフールヴィエの丘の雪も、岸のポプラのむら立ちも、あわただしく別れては来たがこの都も、
別れ路にまた降りそめし川岸のポプラの群のかおる朝雨。
それもよし、今宵は雪のスウィスである。室にかけたシャモニーの広告もうれしかった。
私は窓ぎわのテーブルに、スウィスの地図を拡げる。もう一人のお客さんは、入り口の方に倚りかかってこくりこくりやって御座ったが、やがて、アヴァランシュのような大鼾をかき初めた。汽車は鼾を物ともせず、同じような響をたてて、丘の間を走ってゆく。折り折りテレースの上に小さな村が表われる、南表は雪解けの赤屋根であった。
川をはなれると、雪はだんだん深くなって、露わなポプラの木立、遠い丘の、これも真白に包まれた上に、尖塔の夕日に閃くのが、何とも云えず美しかった。