Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
サルツブルヒ Salzburg
私は三日の後、ミュンヘンを去ってまた山に近づいた。
サルツブルヒ Salzburg
ミュンヘンに別れる日、朝のうちニムフェンブルクの宮殿に行った。庭の池には白鳥や鴨が游いで、みず際の白樺の風になびくのが、もう、とうに都会から離れてしまったように思われる。名物のビーヤもシュタインの絶大な奴で飽きるほど浴びたし、これで名残りは更になしと、汽車は一時半発だから、ゆっくり庭の森の間をうろついてると、やがて小雨になった。ひたひたと水を渡って、林の奥に忍んで来る雨の音が、国にいた頃よく遊びに行った、赤城や神河内の森の様子を思いださせる、ただ白樺は梢が枝垂れて、風にゆれるのが柳でも見るような気がした。雨あしは次第に急になって、池のふちを正門に出るころには、衣物も大分ぬれてしまった。電車で宿に帰る時分は、とうとう本降りになったらしい。
サルツブルヒへはローゼンハイム経由の急行で、初雷の渡る南独逸の高原から、狭い山間いを渓にそうて走るうち、霧も交って雨はますますはげしくなる。サルツブルヒに着いたのは午後四時、空はまっくらで、エリザベート・シュトラーセの七葉樹の並木の間を、雨を切ってパルクホテルに着いた時は、何だかいやに陰気な町だと思った。