Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
私は誰の画だったか忘れてしまったが、ティロールの六月と題した、マーガレットが原一面に咲きそろった、ブルーの濃い綺麗なのを、テイトで見たことがあったが、山の蔭になった斜面などは、不自然とも思われるような、強い色を出してあると記憶する。春先きの今でも、どんよりと曇った日は別として、ティロールの山麓は、裾を取りまく牧場も、それをつっきって流れ落ちる水の色も、山の絶壁の、氷も、岩も、非常に濃いブルーを含んでいると感ぜられた。
「●オーベルピンツガウの汽車の窓より」のキャプション付きの写真
●オーベルピンツガウの汽車の窓より
牧場を通りぬけて、もとの路を街道へ出ると、ぶらぶら、クリンムルの方へ歩きはじめた。晴れ曇りした朝の空も、サルツァッハの谷の上だけは蒼く澄んで、ワルトの鐘が、静かな村にひびき渡る。村の人達が、行きちがいに、グリュッセと云いながら坂路を上ってゆくのが、成るほど、今日は日曜なんだ。私は鐘が鳴ると云っては立ち止まり、グロース・ガイガーの氷に、日がさしたと云ってはたち止って、ヒーブルクの崩れ落ちた城跡の下を、西にぶらりぶらりあるいてゆく。
ローゼンタールからクリンムルまで、やっと五キロしかないが、時間にしてかれこれ三時間もかかった。