Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
昨日の水溜りは、氷の上に雪がつもって、ふちの方は、薄黄いろく滲んでいるのが、氷河から滴たる為か、砥の粉を溶かしたように濁っておる。小屋の屋根は、綿細工みたいに覆われて、昨夜の雪は四寸位は積ったらしい。室に戻ると、いやに顔がほてって、かじかんだ指先きが気持わるくむず痒い。
朝飯はコンソメーに、パンとチースで平げた。そのうちに窓の外は眩しいくらいに冴えかえって、薄い霧ごしに日の照るのが、電灯の火屋でも見つめるような気がする。私達の靴は、もう油にてらてらして、室の隅にかしこまっている、これから明日登る準備に、雪を踏みかために、シュレック・フィルンへ出かけようと云うので、日は照り初めたし、重い荷は残らず小屋に遺して、白のスウェターの身軽ななりで、写真機と、幾巻きかのフィルムを携えたまま、小屋の裏手から、なそいに落とすフィルンの上を登りはじめる。丁度十一時であった。
グレッチェルグラスをかけて雪を見ると、肉眼に見えないいろいろな細点が、顕微鏡をのぞくように浮き上って来る、そして山の輪廓が、恐しいほどはっきりして来る、その山々のうちに、シュトラールエックを訪れたものの、先ず第一に驚ろくのは、彼のグロース・シュレックホルンであろう。