Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
グロース・シュレックホルンの頂上
八月一日の、午に近い太陽は、グロース・シュレックホルンの絶頂に、私達の影をはっきりと画き出した。影はアレトに立ちきられて、三段に雪の上に辷っている。
一九一四・七・二三―八・一
グロース・シュレックホルンの頂上
私は仰のいて、冷たい山の空気を思うがままに吸い込んだ。海抜四千八十米突の尖峰を、更に高く覆う大空には、塵ばかりの曇りもない、そしてこのドームのまわりには、ひたひたと寄せたアルプの山又山が、たとえば、氷洋の波の、泡だつままに凍ったよう、幾重とも知れない渦を巻いて、山は永しえに脚下に眠り、氷の上にはったと投げた、四個の陰影は、寂として動かない。
見まわすと、西の地平線上に、うねうねしたモン・ブロンから、エギュイユへかけて、一きわ高くせり出したオー・サヴォアの群山から右手へ曳いて、ユラ山系が書き割りのように続いている。南独逸の平原は、樅の梢であろう、もう雪は解けて、ただ真っ黒になすり付けた、シュワルツワルトの丘のむこうに薄がすんで、東はティロール、眼まぐるしいほど、重なり合った山の名は、さすがのガイドも知らなかったが、そこからなそいに南へかけて、ヴァレイの山脈のうしろには、ロムバルディヤの雪の山の、重たそうに、ポツリ、ポツリと、頭をもたげた、あの辺が北イタリヤの国境であろう。