Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

赤く崩れたアイガーの嶺には、まだ真白な霧がねばついているが、北の谷合には、緑の牧に、絹のような薄日のさすのさえ望まれる。私はグウェヒテンの裾に、紅色になすりつけられた、アルペンローゼンを眺めながら、ぼんやりと立ちつくした、そして手足の怪我のなおり次第、またこの同じ径を登って、今度はグロース・ラウテラールホルンへ登ろうと決心した。

山の朝はいかにもうれしかったが、昨日のガイド達の朝飯を合わせて、総計八十フランの宿賃には、いささか一驚を喫せざるを得ない。宿のアルペンシュトックを借りて、グリンデルワルトに向かう。フォイツは私のリュックサックは持ってくれたが、まるで頼みにならない。途は昨日と違って、楽には相違ないが、雨上りの岩角が、力のない足には何より苦しい、一歩一歩曳きずるように足を運んで、麓をさして下りてゆく、そのうち後で女の呼び声がする、ふりかえると、宿の娘で、何か忘れものかと思ったら、ウィスキーの小壜を持って来て呉れたのだ、有り難く懐中におさめて、ベールエックの岩山を下りる。

タンネの森はもう脚もとに、すくすくと梢を並べているが、途は雨の中を登ったこの間より、思ったよりも遠い、右の踵がずきずき痛んで、殆んど十歩と歩きつづかれない。