Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

ベヤテンベルクの湖水に面した絶壁は、草の色も、もういつの間にか色づいて、南の窓にのしかかるニーセンには、麓から染め上げて宵ごとに雪が降った。

この景色を正面に見る客室の窓を開けて、朝はヴェランダにデジューネーを運んで貰い、日のうちは、シュピーツベルクから草山の上を、家の人達とつれ立って歩き廻った。近い山には夜ごとに淡雪が降り、風につれて、かさこそと枕にひびく楢の葉はうす霜に凋れて、城あとの、樅に交じる下葉はのこらず紅葉した。

「●エッシネンゼー」のキャプション付きの写真

●エッシネンゼー

山の雪に、里近く下りて来た牛の群は、夕ぐれごとに村路をたどたどと、麓の方へ動いてゆく、風のまにまに遠い岡の蔭から、かすかに響くクーライエンは次第次第に近づいて、あちこち灯のともる板屋の窓の側を通りぬけて、入り乱れた鈴の音は、やがてヴェランダの下を過ぎてゆく、そして木がくれに消えてゆくのが、野を越え山をわけて、私たちの知らない国へ、さまようて行くとように、物悲しくもなつかしい。私はうす靄だつ野を前に、独りぼんやりとこの巡礼を見送って、いつまでもいつまでも、寂しい思いにふけっていた。