Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

那須皓君が来て、二、三日するとまたあわただしく山の方へ行ってしまったのも、その間のことであった。

私は「船の上で幾度も山を讃美した」と書いた、その話対手は横浜から隣のケビンで一緒にジュネーヴまで来た会員の那須であったのだ。然し湖水の藍色の水を一眼見ると、ものにつかれたようになって、私達のとめるのを振りきって、どうしても二、三日遊んでゆくと云い出したその二、三日が、四、五日となり五、六日と変って、明日は行くと云う日付の異った幾枚かの絵葉書が湖畔のあちこちから送られて、山へも行かず待ち暮らした私のところにやっと着いたのは、うそ寒い日が幾日か続いた七月も末となって居た。そしてジュネーヴに比べると夏と春ぐらい陽気の違うオーベルラントは、湖水の照りかえしで日に焼けて来た那須には余程意外であったらしい。

私達は晩餐のあとかかさず湖畔の草原へ出て、奇麗に露を綴った羽衣草を踏みながら、黄昏の長い北国の夕を味わった。曾て対岸の――シュピエツベルクに遮ぎられてここからは見えないが――オーベルホーフェンの小さな宿で、近藤君と一と月近く負傷後の身を養っていた時は、よく那須のことを憶い出しては叱られたものだ。