Japanische Klassiker mit Furigana
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Lesen Sie 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.305 Zeichen · 498 Bildschirme
その間も、トゥルウズの洗濯婦テレサ・ウンベルトの贅沢ぶりは、際限がなかった。一八九七年の一年間だけに、ドゥセの店で三千七百八十磅、ウオルツで千四百磅の衣裳を買っている。ドゥセとウオルツが、巴里第一の衣裳屋であることは、人の知る通りだ。同じ年に、ウンベルト夫人は、帽子だけに八百五十磅費ったとある。このウンベルト夫人が、単なる信用一つ――それも、彼女の機智と嘘言とによる――で生活していようとは、世間は夢にも思わなかった。
最初に怪しいと感ずいたのは、リヨンの銀行家ドュラット氏だった。彼も、ウンベルト夫人に少からざる額を貸してある一人だったが、一日ヴェレクシオンの別荘に招かれた時、それとなく訊いてみた。
「クロウフォウドさんの甥という人達は、一体亜米利加の何処に住んでいるのです?」
夫人は、ボストンの郊外のサマヴィルにいるとだけしか答えなかったが、ドュラットは、二、三日して、誰にも告げずにアウヴル港から紐育へ渡り、ボストンで私立探偵を雇って、サマヴィルは勿論、ボストンを中心に広く捜査してみた。そして、言うまでもなく、それに該当する者が居住していないことを発見したのだった。