Japanische Klassiker mit Furigana
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Lesen Sie 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.305 Zeichen · 498 Bildschirme
あそうそう、あ、そこのダンスで――あの、会館の慈善舞踏会。御存じでしょう、私を。アラン・マクドオナルドというんです。マクドオナルド船長――キャプテン・マクドオナルド、まさかお忘れになりはしないでしょう?」
一息に言って、にこにこ覗くように女の顔を見た。
エンマ・ダッシュ嬢も、自慢の眼へ一層の魅力を罩めて、適度にほほえみながら、
「あら、左様でございましたか。ついお見外れ致しまして――」若わかしい媚態だ。「ええ、存じ上げておりますわ、多分ね。ほほほ、でも、そんなこと仰言っても無理でございますわ。だってあたくし方々のダンスへ参りますもの。そして、ダンス場では、色んな方にお眼に掛りましょう? 一々おぼえてなんかいませんわ。ですけど、マクドオナルドさんなら、ほんとに、いつか御一緒に踊って戴きましたわね。あたくし、ダッシュと申しますの。エンマ・ダッシュよ」
言うまでもなく、両方とも出鱈目なのだ。いま初めて逢ったことを承知の上で、只そんなことをいって会話の緒を切ったに過ぎない。心得たもので、マクドオナルド船長とエンマ・ダッシュは、これで見事に互いに自己紹介を済まして、可笑しくて耐らなそうな顔を見詰め合った。