Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
髪が終るとすぐ、得石は酒を命じた。門七は打身に酒は悪いと止めたが、彼はよけいなことを云うなとどなりつけた。彼がどなるなどということは例がないので、門七はすぐに女中を呼び、帳場の次の間に酒の支度をさせた。座敷がみなふさがっているし、あいている座敷も約束があるから、というのである。どこでもいい、酌の相手も要らない、おれを一人にしてくれ、と得石は云った。
「よし、待ってろ」と彼は手酌で飲みながら呟いた、「誰のさしがねかきっと探り出してやる、このまま泣きねいりにはしない、今日の仕返しはたっぷりしてやるぞ」
酒はまずく、いくら飲んでも酔わなかった。どこの馬の骨とも知れぬならず者のために、小突きまわされ、足蹴にされ、泥だらけになって悲鳴をあげた。自分の姿がどんなにあさましく、みじめだったかを思うと、怒りのために全身がふるえ、持っている盃から幾たびも酒がこぼれた。――店はいそがしかった。泊り客のほかに寄合いがあるとみえ、人の出入りや膳のあげさげで、帳場も板場も沸くようなありさまであった。
「待てよ、待て待て」と彼は五本めの徳利を取りながら云った、「そう思い詰めるなよ、先生、仕返しをしてどうなる、仕返しをして溜飲をさげたところで、それっきりのはなしじゃあないか、ふん、金持喧嘩せずだ、おかねの仕事にしろおくにの仕事にしろ、